温泉地に逗留している43歳の映画監督グイド。
彼はこの地で新作の撮影を控えているのだが、構想がまとまらず、
プロデューサーや製作主任にせっつかれながらも、既にクランクインを2週間延期している。
老いたブルジョワや枢機卿などの湯治客に混じって現れるグイドの旧友、愛人、そして妻ルイザ……
仕事上のスランプ、冷え切った妻との関係……公私ともどもストレスにさらされているグイドの脳裏には
幼少時の記憶やまだ見ぬ夢の美少女の幻影が現れては消える。
クライマックスは、巨大な宇宙船発射台の屋外セットを前に開かれる記者会見シーン、
ストレスが頂点に達したグイドがとった行動とは……。
フェリーニ本人はこの映画が全く自由な気持ちでながめられることを望むために、
自叙伝的映画として捉えられることを嫌っていましたが、
しかし、マルチェロ・マストロヤンニ演じる43 歳の映画監督グイド・アンセルミは、
まさに撮影当時のフェリーニの化身です(映画が公開された1963年の1月20日で、フェリーニは満43歳)。
作品で描かれる映画監督とという職業上の苦悩、女性たちへの持てあますような愛情も、
おそらくはフェリーニ本人が抱き続けていたものであり、
堂々とした体躯を持つ妖艶な女サラギーナのダンス、
厳格なカソリックの学校といった主人公の回想シーンにも、
フェリーニ本人の幼少期の記憶が多分に織り込まれているものと思われます。
そうした極めて個人的な内面を、マストロヤンニという美男俳優
(彼はフェリーニの前作『甘い生活』、そして後年の『女の都』『ジンジャーとフレッド』などでも主演)、
そしてアヌーク・エーメ(『甘い生活』『男と女』『プレタポルテ』etc.)、
クラウディア・カルディナーレ(『山猫』『熊座の淡き星影』etc.)をはじめ、
これでもかと登場する美人女優たちの物語として提示し、
しかも現実と回想と幻想のシークェンスを自由に往き来させ、
まるで美しい写真集をめくっているかのような官能的なモノクロ映像に結実。
(美術やアカデミー賞を受賞した衣装もカンペキ!)
『ゴッドファーザー』のテーマでもおなじみ、存命中にはほとんどのフェリーニ作品を手がけた
名匠ニーノ・ロータのノスタルジックな音楽も最高です。
まさに映画でしかできない芸術表現として観る者ひとりひとりに様々な解釈、感慨を与えてくれる映画───
─── それゆえに『8 1/2』は映画史における最高傑作のひとつとして、
人気投票では常に上位を獲得し、賞賛し続けられているのです。
*ちなみに『8 1/2』の題名は、基本的にはフェリーニが監督してきた作品の
「8 1/2」本目という意味だと解釈されていますが、
実際には『8 1/2』は長篇、短篇あわせて10作品目にあたります。
ただし、10本のうちには共同監督作品や、オムニバスの一篇などもあり、
それらを分数にすると「8 1/2」本目になるというのですが、その換算法には諸説あります……。

イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの代表作にして世界の映画史に名を留める
この傑作中の傑作がついに日本で初DVD化!
本編ディスクと特典ディスクの2枚組で登場です。
本編ディスクは、数々のフェリーニ作品を送り出した彼のホームグラウンドとも言うべき
ローマのスタジオ、チネチッタが修復したニュープリントから、
日本のポストプロダクションの雄、(株)IMAGICAが総力を挙げてマスタリング。
そのプリントを世界の最先端のスタジオで採用されているマシンSpirit DataCineにより
HD(ハイビジョン)テレシネ( =フィルムからビデオに変換すること)した後、画像に残る傷やゴミなどを可能な限り除去、
フェリーニがモノクロ画面に定着させた香しき映像を、美しく盤上に再現しました。
そして特典ディスクには2003年にイタリアで制作されたドキュメンタリー
『ザ・ロスト・エンディング』(50分)を収録。
『8 1/2』と言えば、出演者全員が屋外で輪になって踊るラストシーンが有名ですが、
実はこのエンディングは当初予定されていたものではありませんでした。
本当は登場人物達が白装束を着て、列車に乗ってどこかに向かう……というシーンが撮影されていたのです。
残念ながら撮影されたフィルムは現存しませんが( = ザ・ロスト・エンディング)、
このドキュメンタリーではフェリーニのインタビュー音声と数百枚にも及ぶ撮影現場のスチル写真、
そしてスタッフ/キャストたちのインタビューによって、失われたエンディングについて考察を巡らせます。
フェリーニがこのエンディングを変えたのは、本編完成間近になって、
製作会社から「予告編を作ってくれ」と命じられたのが発端です。
フェリーニは出演者たち全員を野外のセットに集め、
サーカスのように全員を輪舞させる特別な映像を撮影しました。
そして、完成した予告編を見たとき、このシークェンスをそのまま映画のラストに使うことを思い立ち、
再度、出演者たちを集めて、もう一度このシーンを撮り直したのです。
今回のDVDにはこのラストシーンを変えるキッカケとなった貴重な予告編も収録。
本編のラストシーンとはもちろん似て非なる映像で、
出演者たちの衣装が微妙に違ったりするのもマニア心をくすぐります。

監督: フェデリコ・フェリーニ
原案: フェデリコ・フェリーニ/ エンニオ・フライアーノ
脚本: フェデリコ・フェリーニ/ トゥリオ・ピネッリ
エンニオ・フライアーノ/ ブルネッロ・ロンディ
撮影監督: ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
カメラマン: パスクワーレ・デ・サンティス
音楽: ニーノ・ロータ
美術・衣装: ピエロ・ゲラルディ
小道具: ヴィート・アンツァローネ
メークアップ: オテロ・フーヴァ
編集: レオ・カトッツオ
スクリプト: ミレッラ・ガマッキオ
助監督: グイダリーノ・グイディ
協力: ブルネッロ・ロンディ
製作主任: ネッロ・メニコーニ
製作: アンジェロ・リッツォーリ
グイド・アンセルミ: マルチェロ・マストロヤンニ
妻ルイザ: アヌーク・エーメ
カルラ: サンドラ・ミーロ
クラウディア: クラウディア・カルディナーレ
ロッセラ: ロッセラ・ファルク
ドーミエ: ジャン・ルージュル
プロデューサー、パーチェ: グイド・アルベルティ
製作主任コノキア: マリオ・コノキア
マリオ・メザボッタ: マリオ・ピスー
グロリア・モリン: バーバラ・スティール
フランス女優マドレーヌ: マドレーヌ・ルボー
魔術師モーリス: イアン・ダラス
サラギーナ: エドラ・ガーレ
この映画史に残る傑作の初DVD化を記念して、豪華な体裁のボックスに様々な特典を封入。
・特製紙ジャケット仕様
・映画の名場面をデザインしたフォトカードを8と1/2枚!
・48ページのブックレット
中条省平さん、菊地成孔さん、小沼純一さん、杉原賢彦さんらが執筆!
本編の美しい写真と共に、作品の詳細な解説やスタッフ/キャストのプロフィールを掲載
並のDVDパッケージとはひと味もふた味も違う、
永遠に手元に置いておきたくなるようなコレクターズ・アイテムです。
名作の重み、素晴らしさを、モノとして、手触りとしても感じていただきます!
発売元:IMAGICA TV

「フェリーニのローマ」
幾世紀もの歴史と舞台が共存する都市ローマ。巨匠フェリーニの人生の舞台でもあり、彼の作品の舞台でもあるローマを、ドキュメンタリーともファンタジーともつかぬ独自の表現で映像化した。フェリーニが最もエネルギッシュに活動していた時代の傑作。
「サテリコン」
キリスト教導入以前、倫理観が確立される前の人間の凄まじい欲望の数々・・・・男女入り乱れての大浴場、男同士の結婚、両性具有の神の子、そして人肉嗜食。 古代ローマのデカダン的世界を目もくらむ映像美で描いた巨匠フェリーニの渾身の大作!
各 税込¥3,990
DVD発売中
発売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社

「81/2」 © MEDIASET S.p.A.
「The Lost Ending」 © SCIARLÒ/ CINEMAZERO / FURY DEPARTMENT PRODUZIONI